PROJECT STORY

[番外編]ようこそ!魅力いっぱいの古河AS本社へ〜古河ASの共創はここから生まれる〜

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[番外編]ようこそ!魅力いっぱいの古河AS本社へ〜古河ASの共創はここから生まれる〜

主に設計・監理を担当されたNTTファシリティーズ様と、インテリアを担当されたITOKI様に、詳しいお話を伺いました。

新社屋建設の経緯と設計当時の思い

―はじめに、古河ASの新社屋プロジェクトに参画してくださった経緯を教えていただけますでしょうか。

NTTファシリティーズ様
コンペでお声がけを頂きました。若いメンバー中心に取り組み、選定された時にはとても嬉しかったことを覚えております。コンペ時からの変更でデザインの見直しや設計範囲の広がりがあり、建物単体の設計にとどまらず正門や既存棟のリニューアル等「いかに工場敷地全体の魅力を最大化するか」という視点で取り組みました。

ITOKI様
建替えに際しての御社のプロジェクトに参加して、新築を進めていくお話でした。イトーキの実績・経験が必ずお役に立つのではと感じました。

―設計に取り組むにあたり、旧社屋を見学された際の印象はいかがでしたでしょうか。

NTTファシリティーズ様
豊かな自然環境とともにある大変魅力的な敷地だと感じました。既存社屋は工場建築の改修利用だったため高い天井と広い大部屋で風通しも良く、開放感がありとても良い雰囲気だと感じました。

ITOKI様
自然豊かな環境と新幹線からも良く見える好立地で、改修前は少し学校のような雰囲気でしたが、オープンな大空間で、幅広い世代の方が活発に働いているイメージでした。

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左:社内からの眺望 右:正門からの外観風景

―新社屋のコンセプトと、コンセプト決定までの経緯を教えてください。

ITOKI様
設計者のNTTファシリティーズ様と、現状の調査や検討を重ねて、社員の方全員にアンケート調査を行い、オフィスに対する意見を収集しました。「滋賀から世界へ」をキーワードに、イノベーションの原動力となる新本社という考え方で、ワーカーの方が働きやすいオフィスを目指しました。

NTTファシリティーズ様
古河AS様が育んできた風通しの良い雰囲気を継承したいと考え、社員同士のコミュニケーションを更に加速させるようなオープンな空間がふさわしいと考えました。そして、古河AS様の「研究開発」「ものづくり」「人財育成」という「人」を大事するという企業理念に基づき、打ち合わせを重ねながらコンセプトを具体化していきました。

<新社屋建設時のコンセプト>
「新たな夢の現実に向けて世界へ発信するグローバル拠点
〜豊かな自然と調和しながら、機能集約による生産性を最大限発揮する本社拠点を目指して〜」
・新たな働き方を生みだす古河ASモデル
・社員全員が顔見知り。刺激しあい高めあう風通しの良いオフィス
・湖東の気候をいかす。地域に根ざした共生建築

・合理的で美しい開かれたシンボル


【基本設計書(2012.2)より抜粋】

―古河ASと皆様の思いが詰まったコンセプトですね。
設計に至った中で、一番のこだわりはどこでしょうか。


ITOKI様
アンケート調査で、社員同士の社内の風通しのよさが特徴だと多くの意見がありました。その良さを活かせるようなオープンなオフィス、いつでもどこでも働ける環境を目指しました。

NTTファシリティーズ様
古河AS様のものづくりを大事にする企業風土を感じる中で、新社屋も高い合理性・機能性がそのまま「ものづくり」としてデザインに昇華された建築が、世界に誇るグローバル拠点としてあるべき姿だと考えました。
例えば外観の特徴ある構造フレームは、柱や梁を外部に出すことで、室内の使いやすさと日除け効果を兼ね備えています。さらに鉄筋コンクリート造により耐震・遮音などを実現しました。
合理性を外観でそのままシンプルに見せることが、デザインに説得力を持たせ、多くの人に受け入れられるランドマークになるだろうと考えました。

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合理性とデザイン性が両立したフレーム構造

―洗練された外観デザインが、合理的な機能を起点としたものだったのは意外でした。
他にも、特徴的なデザインが見受けられますが、実は地元の素材も取り入れられています。


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左:明るい渡り廊下 右:開放感のある食堂

信楽焼レンガの趣ある外観と、愛知川の川砂利が生かされた床

―外壁について、滋賀の名産「信楽焼」を素材とした「信楽焼タイル」が使用されておりますが、こちらはどのような経緯で採用に至ったのでしょうか。

NTTファシリティーズ様
「地域素材を取り入れ、地域に親しまれる本社拠点を目指す」
という方針のもと、地元素材である信楽焼レンガの採用に至りました。タイルのように貼るのではなくレンガとして積んでいる事が特徴で、将来的な剥落を防ぐとともに一部透かして詰むことで、内部に柔らかな光が取り込まれます。
信楽焼は日本六古窯の一つとして古くから日本を代表する焼物として有名ですが、建材としても広く利用されております。土味をいかした素朴な風合いが特徴で、古河AS様の新社屋にふさわしいと考えました。
また1Fエントランスの床も、石を貼ったり塗装で一様に塗ってしまうのではなく、コンクリートに含まれる愛知川の川砂利を研磨して見せ、時間とともに風合いが出るように考えました。

―オフィスビルは経年劣化で重苦しい雰囲気になってしまう所も多いと思います。時間の経過とともに風合いが出ていくようにあらかじめ考慮していることは、長い目で土地や利用者との共存共栄を見据えており、持続可能な社会への貢献を願う古河ASの基本理念や経営理念が体現されているようです。

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左:光を取り込むよう積まれた信楽焼 右:愛知川の川砂利の風合いが生きる床

風通しの良い社屋でのコミュニケーション

―続いて内観についてお伺いします。
建物全体で窓が大きく広く、開放的な会議室や高い天井が特徴的ですね。


NTTファシリティーズ様
旧オフィスが大部屋で、見通しと風通しがとても良い環境でした。その良さを保つため、建物中央を吹き抜けにしてコミュニケーションスペースを配置することで、フロア間をつなぎ建物全体をワンルーム的につなげました。会議室や役員室といった個室の間仕切りもガラス張りにし、ロールスクリーンで必要に応じて閉じることもできますが、スクリーンは降ろさずに開放的に使っていただいており、うれしかったのを覚えております。

なるほど、社風にマッチして使いやすかった証拠とも言えますね。フロアごとの仕切りが少ないのも同様の意図でしょうか。

ITOKI様
社風を生かしどこでも活発にコミュニケーションができるよう、壁をつくらない設計としました。
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左:オープンなコミュニケーションスペース 右・下:ガラス張りで風通しの良い社長室
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湖東の気候をいかした環境共生オフィス

―開放的な社内は太陽光もふんだんに採光されております。
こちらの設計の意図をお伺いできますでしょうか。


NTTファシリティーズ様
この立地ならではの気象条件を最大限活かした環境共生オフィスにしたいと考えました。具体的には、日照時間の短い冬の太陽熱利用や、年間を通じて琵琶湖から吹いてくる安定した風の利用などです。太陽光の積極的な取り込みによる照明電力節減や通風窓のほか、建物中央の吹き抜けにより、自然の仕組みが生かされた換気が空調負荷の削減などにつながっています。吹き抜けには環境モニターを設け、天気や室温度、消費電力の数値を見える化しています。機械頼りにせずに窓の開閉や、空調・照明の設定をユーザー自らが行い、さらにはその効果が目に見えることで、ユーザーの意識と省エネを両立させる本質的な快適さを目指しました。これらの取り組みより、空調53.5%、照明49%の省エネ効果を実現しました。(完成後一年の計測データによる)

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左、中央:太陽光が生かされた室内 右:使用電力表示のほか、ユーザーに調整を喚起させるナビモニター

―半分もの削減という結果は、大変大きな省エネ効果で驚きです。デザイン性だけではなく、地域性が生かされ、人にも環境にも優しい設計であることがよく分かりました。

―古河ASの理念を具象化させたような設計になっていますが、他にも古河ASらしさやイメージを反映させた点はありますでしょうか。

ITOKI様
新館では窓側の眺めの良い角地をコミュニケーションスペースにし、ライトブルーのワークウェアや自然に映える色を家具のカラーに取り入れています。

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左:入ってすぐにお客様を迎える展示室 右:窓側で眺めの良いコミュニケーションスペース

―最先端の技術も取り入れながら工夫された展示室では、古河ASの様々な製品が技術面から分かりやすく紹介されています。お立ち寄りの際は、ぜひ覗いていってください。

2014年日経ニューオフィス賞受賞

―古河ASの新社屋は2014年に日本経済新聞社とニューオフィス推進協会が共催する「第27回 日経ニューオフィス賞」の「近畿ニューオフィス推進賞」を受賞しました。
オフィス賞受賞に至った経緯や、決め手となった点を教えて下さい


ITOKI様
日経ニューオフィス賞は、創意と工夫をこらしたオフィスを表彰する賞で、全国から有数の企業が応募されます。設計完了後に、NTTファシリティーズ様と、皆様の想いのこもったオフィスをぜひ全国の賞に応募したいと古河AS様にご相談しました。日経ニューオフィス賞も皆様と一丸となって審査に対応し、受賞できたこと、大変うれしく思います。

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ご来社の際はぜひ、隅々までご覧になってみてください。

<インタビュー協力>
株式会社NTTファシリティーズ https://www.ntt-f.co.jp/
株式会社イトーキ https://www.itoki.jp/